昭和興産(Showa Kosan)がコメのもみ殻から車載用電池の主要部材の1つである負極材を生産する技術の商用化を推進している記事がTHE DAILY NNAで掲載されました。
弊社ではすでに地場のリチウムイオン電池メーカー向けにサンプルの出荷を始めております。
記事の詳細は下記より閲覧可能です。
【記事本文】
東北部の国立コンケン大学とタイ企業2社が設立し たスタートアップ「KKU VOLTS」が、もみ殻から抽出したシリカを原料として負極材用ナノシリコンと、そのナ ノシリコンと従来の負極材料である黒鉛(グラファイ ト)をブレンドしたシリコンカーボンコンポジット(S i―C)負極材を製造する技術の確立に成功した。
電池業界では現在、リチウムイオン電池の容量を増やそうと、グラファイトよりも大きな理論容量を示すシリコン系が次世代の負極材料として注目が集まっている。
コンケン大学はもともと、もみ殻からシリカを抽出し、ナノシリコンを精製する技術を持っていた。さらに、シリカやシリコンを負極材に適したナノ(ナノは 10 億分の1)に加工できる技術もある。
車載電池はどれくらいの出力にするかで、それにふさわしい極材も変わってくる。コンケン大学には、グラフ ァイトと適切な割合でブレンドすることで、ナノシリコンを顧客の求めるスペックに合わせられるノウハウも ある。
〇生産ラインは顧客の近くに
顧客向けの「もみ殻負極材」のサンプルは、コンケン 大学内の研究室にあるラインで生産している。タイの車 載用電池産業は黎明(れいめい)期。「現在はどういう分野向けにはどういうバッテリーが必要で、そのために はどういう部材が必要なのかとブレークダウンの真っ最中」(山田マネジングディレクター)だという。
昭和興産(タイランド)は、タイ地場のバッテリーメ ーカー数社にアプローチ。もみ殻負極材は現在、地場の電池メーカーからいくつかある候補のうちの1として採用の検討対象になっているという。
正式に採用を決めれば、山田マネジングディレクター は、供給しやすいように顧客の工場の近いところに生産 ラインを設けたい考え。ラインは KKU VOLTS が建設する予定だ。
中国が圧倒的なシェアを占めるグラファイトとは違い、原料であるコメはタイ全国で生産されているので、 基本的にどこでも簡単に調達できるという強みを生かす。農業大国であるタイのコメの年産量は 1,800 万トンほどで、大量のもみ殻が排出される環境にある。一般 に、もみ殻がもみに占める割合は2割ほどとされる。
タイでは現在、も み殻がバイオマス (生物資源)に活用されているケースが増えている。もみ殻を効率的に回収できるルートが確 立され、すべてのも み殻が負極材に使われると仮定した場合、単純計算でタイでは 年間2万 4,000 ギガワ ット 時分のリチウムイオン電池に供給できる負極材を生産できることになる。
現段階 は 、 KKU VOLTS と同様の技術を持ったライバル企業は存在しないという。昭和興産 (タイランド)は 25~26 年までには正式に採用を決め、 収益を上げていく考えだ。 もみ殻が付加価値の高い負極材の製造に活用する機会が増えれば、農家の収入アップにもつながる見通し だ。タイ政府が推進するBCG(バイオ・循環型・グリ ーン)経済の実現に資する事業にもなる。
タイ政府は 2030 年までに自動車生産の 30%を二酸化 炭素(CO2)の排出がないゼロエミッション車(ZE V)にするという目標を掲げる。実現に向けては、車載電池の製造が不可欠だ。昭和興産(タイランド)は、昭和興産の中国法人を通じて、タイでもセパレーターを除く、正極材や電解質など負極材以外の主要部材のタイで の販売も進めている。
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